生まれたばかりの息子は、とても小さくて、思わずずっと見ていたくなるような赤ちゃんでした。
その一方で、昔からよく泣く子でもありました。少しでも思い通りにならないとすねてしまい、気持ちが崩れるとすぐ涙が出る。甘えん坊で、やさしいけれど、どこか頼りなさも感じる男の子だったのです。
やがて時がたち、息子も幼稚園に入園しました。
親としてはうれしい反面、「ちゃんと通えるだろうか」「お友達の輪に入れるかな」と、不安が尽きません。
実際、入園してしばらくは「行きたくない」と泣いてぐずる日もあり、やはり心配した通りだったか…と思うことも少なくありませんでした。
そんな息子に、大きな変化が訪れた出来事があります。
ある日、妻が幼稚園の送り迎えをしている途中、道端でぐったりした猫を見つけたそうです。かなり痩せていて、けがもしていたらしく、見るからに弱っていたとのことでした。
その猫を見た息子は、すぐに「ママ、この猫ちゃん、おうちに連れて帰っていい? ぼくがお世話するから」と言ったそうです。
突然のお願いに戸惑いながらも、目の前の猫をそのままにできず、妻はいったん家まで連れて帰ってきました。
仕事から帰宅した私は事情を聞き、「そこまで言うなら迎えてもいいんじゃないか」と思ったものの、妻はすぐには決めきれない様子でした。
命を預かる以上、かわいそうという気持ちだけでは飼えませんし、世話を続ける責任もあります。あなたなら、同じ場面で即決できるでしょうか。
しばらく夫婦で話し合っていると、息子が真剣な顔でこう言いました。
「ぼくがちゃんとお世話する。ぼくが猫ちゃんを守る」
その言葉には、いつもの甘えた調子ではない、はっきりした覚悟がありました。
その姿を見て、最終的に私たちは猫を家族として迎える決心をしたのです。
すると、それからの息子は本当に変わりました。
猫のごはんや様子を気にかけ、そばに寄り添い、自分なりに「守る」という気持ちを行動で示すようになったのです。
以前のように、ちょっとしたことで泣いたり、わがままを言ったりすることもぐっと減りました。
もちろん5歳や6歳の子どもですから、気持ちが揺れる日はあります。けれど、誰かを守りたいという意識が芽生えてから、内面がひとつ成長したのは確かだと感じています。
弱っている命と出会った経験が、息子のやさしさと責任感を大きく育ててくれたのかもしれません。
猫を見つめるまなざしや、そっと寄り添う後ろ姿を見るたびに、「あんなに泣き虫だった子が、こんなに頼もしくなるなんて」と胸が熱くなります。
親の心配をよそに、子どもは自分のきっかけで、ちゃんと前へ進んでいくものなのですね。
○○へ。
うちの子として生まれてきてくれて、本当にありがとう。
これからもやさしい気持ちを大切に、あなたらしく成長していってくれたらうれしいです。